第4回
捻挫(足関節)
附属接骨院担当 林
夏の猛暑も徐々におさまって秋に向かい涼しくなってくると、体を動かす事が好きな人は様々なスポーツを行いたくなります。普段、体を動かす事が少ない人も職場や学校、あるいは町内会などでの運動会や体育祭等の各種スポーツ大会が行われ、体を動かす事が多くなると思います。そんなスポーツを行っている中で、一番気をつけなければならないのが捻挫や打撲等のケガです。
そこで今回はケガの中でも比較的多い足首の捻挫を取り上げたいと思います。
捻挫とは?
主に靭帯(じんたい)の損傷を指します。靭帯とは骨と骨とをつないでいる組織で、硬いヒモ状のようなものだと考えて下さい。靭帯には関節の動ける範囲を越えないように安定させる働きがありますが、強い外力が加わったりなどして、関節の動ける範囲を越えたりするとその靭帯が支えきれなくなって、伸びてしまったり切れてしまったりします。これが、「捻挫」です。
足関節捻挫で多いのが「内返(うちかえ)し捻挫」と言われるものです。これは、足の底面が内側へ向き、足の小指から甲の部分が地面に着くような感じで捻り、足関節の外側の靭帯が損傷されるものを『内返し捻挫(うちかえしねんざ)』といいます。
なぜ『内返し捻挫(うちかえしねんざ)』が多いのでしょう?
足関節の解剖学的構造にも関係があります。足関節は、脛(けい)骨(こつ)と腓(ひ)骨(こつ)からなる関節窩に距(きょ)骨(こつ)の距(きょ)骨(こつ)滑車(かっしゃ)と呼ばれる部分がはまり込んだ状態で安定を保っています。この距骨滑車関節面の横幅は前方が広く後方が狭いため、足関節の背屈(はいくつ)では滑車前方がユニット(関節窩)の中にくさびとして入り、骨間(こっかん)靭帯(じんたい)を緊張させ側方の安定性が保たれます。逆に底屈(ていくつ)では後方の狭い部分がはまるため、ユニットも緩み骨間靭帯も弛緩され安定性が低くなります。それと、内果(ないか)と外果(がいか)の高さの違いにもより内返し方向に緩みを生じ、足関節の外側側(がいそくそく)副靭帯(ふくじんたい)(主に前距腓(ぜんきょひ)靭帯(じんたい))が損傷され内返し捻挫が多くなると言われています。
底屈 背屈 |
捻挫をしたらどうすれば良い?
応急処置としてRICE処置をするのが原則です。アイシングは氷のうやビニール袋に氷を入れて患部に約15分〜20分間当てます。アイシングをすることにより、腫れを最小限に抑え痛みを軽減する効果があります。
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後は、包帯やテーピング等で固定する適切な処置を受けることを進めます。
捻挫はクセになるの?
応急処置などの早期治療を適切に行っていなかったことが問題になることが多いようです。通常、X線を撮って骨に異常がなければ湿布や痛み止めを処方されるだけで終わってしまっている場合が多く、固定もろくにせず後のフォローもないことが多い。ケガをした本人もフォローされてないため、完治してない状態で終わってしまうケースが多く、当然後遺症も残ってしまいます。くせにならないようにするには、「たかが捻挫」と軽く視ず、接骨院や病院で適切な治療をすることが重要です。
予防は??
運動前には必ず足関節周辺の充分なストレッチとウォームアップを行いましょう。筋肉や関節が硬いまま、激しい運動を始めると捻挫の危険性も高くなります。また、ケガをしやすい関節の周辺の筋肉を鍛えることも、予防に効果的です。一度捻挫を起こしたことのある箇所は、きちんと回復させないと、また同じところを傷める可能性があります。傷めてしまう可能性があると思われる箇所がある場合は、テーピング等で固定すると再発防止に役立ちます。
スポーツの秋を存分に楽しみましょう! |